階層別効用比率
基準階(通常は地上1階の部分)を基準として、各階層の標準的な専有部分または専有面積当たりの経済的価値の割合を示した比率をいう。一棟の建物でも収益性、快適性は各階層によって異なるという考え方に基づく比率で、貸ビルの各賃貸部分の賃料の鑑定評価あるいは区分所有建物の一室の価格を鑑定評価する場合等に用いられる。同様の比率に、同一階層内での位置による経済的価値の割合を示した位置別(部分別)効用比率がある。
開発型証券化
不動産事業の将来キャッシュフローを担保に、ビルやマンションなどの建設前に開発資金を調達する仕組み。最近では開発型証券化を活用したプロジェクトが増えている。従来のコーポレートファイナンスでは信用力の劣る企業でも、プロジェクト自体の事業採算性が優れ、各種リスクを分離したスキームであれば、プロジェクトの開発段階で資金調達を図ることができる点で活用が進んでいる。
開発行為
都市計画法に定められた土地の区画・形質の変更をいう。建築物や特定の工作物を建設するために、道路の新設・廃止により土地の区画を変更したり、一定の条件以上の盛土や切土により土地の形状を変更する場合や農地を宅地に変更する場合等が開発行為に該当する。開発行為を行う場合は、都道府県知事の許可を受ける必要がある。
開発負担金
行政が指導する宅地開発等指導要綱等により開発事業者に負担させる金銭をいう。許認可取得の前に行う事前協議等で対応が求められ、負担金、協力金、寄付金といった名称で取り扱われる場合が多い。
外部成長
新規物件の取得など、資産規模の拡大による成長のことをいう。スケールメリットを活かした経費削減効果も含むと考えられる。
格付け
(Rating)
国債や社債などの債券を発行する発行体の信用リスク、つまり債券の元金と利息が約定通りに行われるか否かを簡単な記号である”AAA”や”Bbb”などの記号で表したもので、発行証券のリスクの度合いをランク付けしたものである。主な格付機関として、国内には日本格付情報センター(R&I)と日本格付研究所(JCR)があり、国際的格付機関としてはムーディーズやスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)、フィッチなどが知られている。例えば年金資金などは一定ランク以上の格付けを取得していない証券は投資不適格となり投資できない。また、格付けによって調達コスト(発行の際の金利)が変わり、高い格付けを取得することによって発行金利を低く抑えることもできる。
環境影響評価(環境アセスメント)
(Environmental Assessment)
開発行為により人間が自然に与える変化のうち、その悪影響を事前に予測・調査を行い総合的に評価することをいう。開発行為による悪影響を最小にするための方法を見出すことも含まれる。
還元利回り
収益還元法に用いられる利回りのひとつで、対象不動産の将来生み出す純収益を資本還元(割り算)するために使用される利回りである。一般的に、標準的な投資利回りを基にして求めるが、対象不動産の投資上の危険性、流動性、管理の困難性、保有資産としての安全性等の諸条件により差異を生するので、必ずしも一律に決められるものではない。還元利回りは、対象不動産が土地と建物あるいはその他償却資産と一体のものである場合、それぞれの価格に基づく加重平均による方法をとる。また、資金調達コストの面から、借入金と自己資金の構成比とそれぞれの還元利回りに基づき加重平均する方法もとられる。
鑑定評価書・鑑定評価報告書
鑑定評価書は、評価対象不動産の鑑定評価額とその決定の理由要旨等が記載されたもので、不動産鑑定業者が業務依頼者に発行する文書ある。鑑定評価報告書は、実際に鑑定評価業務を担当した不動産鑑定士(補)が不動産鑑定業者に提出する文書で、鑑定評価の作業で収集した資料等を含み鑑定評価書の実質的内容をなすものである。
管理型信託
管理型信託とは、①対象資産の委託者または委託者から指図の権限を委託された者(株式の所有関係や人的関係において受託者と密接な関係者は無効)のみの指図により、信託財産の管理・処分が行われる信託、②信託財産に関して、保存行為または財産の性質を変えない範囲内の利用行為もしくは改良行為のみが行われる信託のいずれかに該当する信託をいう。 2004年12月の改正信託業法施行により、信託銀行以外の一般事業者にも信託業務を請け負うことが可能となり、「資産の流動化」に関する管理型信託業務が設定された。「管理型信託会社」には財務省財務局の登録が必要となる。
既存不適格建築物
法律の制定・改正において、その施行または適用の際に既に完成または建築・修繕・模様替え工事中の建築物について、新法に適合しない部分に関してその適用を除外された建築物をいう。適合しない規定の適用を除外されるため当面適法扱いとなることから、違法建築物とは異なる。ただし、一定規模以上の増築・改築・大規模の修繕または大規模の模様替えをする等、建築確認申請を必要とする工事を行う場合、適用を除外されていた規定について計画的に是正する義務を負う。なお、違反建築物として建築されたものは適用を除外されない。
キャッシュリザーブ
(Cash Reserve)
期中のキャッシュフローの中から、一定金額を定期的に留保することで信用補完を行う方法。元利金返済積立金や修繕積立金などが代表例である。
キャップレート
(Cap Rate/Capitalization Rate)
不動産売買の現場で用いられる利回りのひとつで、キャッシュフローに着目した利回りである。キャップレートは、NOI(年間賃貸収入から空室損失費、管理費、修繕費、固定資産税などの運営諸経費を控除した純収益。減価償却費・借入金利支払前の純収益)を投下資本額で除して求めることができる。機関投資家や外資が多用する利回りはほとんどの場合、キャップレートである。
キャピタルゲイン
(Capital‐gain)
投資元本の値上がり益のことを示す。逆に値下がりした場合の差損を「キャピタルロス」という。土地の場合は地価上昇による、建物の場合は売買価格の上昇による資産価値の増加が該当する。
金融商品取引法(金商法)
2006年6月、証券取引法の一部を改正するかたちで、金融商品利用者保護のために制定された法律。当時、規制緩和や一般投資家の投資意欲の向上という流れのなかで、さまざまな金融商品が登場してきたが、個別・縦割りの規制の隙間で、規制の網からこぼれ、被害が頻発したことから、横断的な法律制定の気運が高まったことから成立した法律である。規制は、一般投資家向けの商品については、わかりやすいルール、選択肢の多様化、きめ細かい保護により投資家の安心を確保し、適格機関投資家等のプロ投資家に限定した商品に対しては、国際的な視点に立った規制の見直しと国内金融資産の活用と言う観点から、むしろ規制緩和を行うなど柔軟に対応するもので、“規制の横断化と柔軟化”が特徴となっている法律である。この法律の成立により、ファンドの運用や匿名組合出資等の販売・勧誘、投資助言・代理を行っている事業者(具体的にはAM会社、アレンジャー、匿名組合出資持分の募集販売者など不動産証券化に関わる多くの事業者)はすべて金融商品取引業者として金融庁のもとで同法の行為規制を受けることになった。
現在価値
将来実現する価額または収益を複利現価率により現在の価額または収益に換算したものをいう。
検査済証
建築確認申請に基づき建築確認のなされた建築物等について、建築物等およびその敷地が建築基準関係規定に適合しているかどうかの建築主事等による完了検査の結果、適合していると認められるときに建築主によって交付される書類をいう。
減損会計
2006年3月期から完全実施された、企業の所有する固定資産の価値が大幅に下落している場合、帳簿価格を引き下げ、価値下落分を特別損失に計上する会計処理方法をいう。対象資産には土地・建物などの有形固定資産のほか、無形固定資産も含まれる。
建築基準法
建築物の敷地、構造、設備および用途に関する最低の基準を定め、国民の生命・健康および財産の保護を図り、公共の福祉の増進に資することを目的とする法律。
建築面積
建築物の外壁または柱で囲まれた部分の水平投影面積をいう。なお、建築基準法ならびに政令等によって、その計測方法について詳細に定められている。
限定価格
市場が相対的に限定されたクローズド・マーケットにおいて成立する場合の適正な不動産の価格をいう。隣接不動産の合併のための売買や、借地権者が底地の合併を目的とする売買の場合等、正常価格が成立する自由な市場を前提としないで、特定の当事者間の取引のみにその経済的合理性が認められる価格。
建ぺい率
建築基準法で定める、敷地面積に対する建築面積の割合。都市計画法ならびに建築基準法の規定によりその限度が定められている。建築物の敷地が制限の異なる地域・地区にわたる場合には加重平均で算定し、角地等では制限を緩和する規定もある。
コアマネー
(CoreMoney)
不動産投資におけるコアマネーとは、極めて慎重な運用が求められる機関投資家が拠出する資金を指し、年金基金等がこれに相当する。短期転売型のハイリスク・リターンのファンドではなく、長期にわたって安定したリターンを得られるファンドへ投資する志向が強く、投資したファンドに対しては、運用の確実性や情報開示による透明性確保などを強く求めている。
工業専用地域
工業の利便を増進するため定められた用途地域。工場は建てられるが、住宅、店舗、学校、病院、ホテル等は建てられない。
工業地域
主として工業の利便を増進するため定められた用途地域。工場のほか、住宅や店舗は建てられるが、学校、病院、ホテル等は建てられない。
航空機騒音障害防止地区
特定空港(成田国際空港)の周辺の都市計画区域内で、航空機騒音の影響を受ける地域に対し、航空機の騒音から生活環境を守り、適性かつ合理的な土地利用を図るために定める地域地区。これらの地区では、新たに住宅、病院、学校等の静かな環境を必要とする建物を建築する場合は制限を受ける。
高層住居誘導地区
大都市地域の都心地域や地方都市の中心市街地等で、住宅と非住宅の混在を前提とした用途地域において高層住宅の建設を誘導することにより、住宅と非住宅の適正な用途配分を回復し、都心における居住機能の確保、職住近接の都市構造の実現、良好な都市環境の形成を目的として定める地域地区。建築物の容積率の最高限度、建築物の建ぺい率の最高限度および建築物の敷地面積の最低限度が定められる。
高度地区
都市の合理的土地利用計画に基づき、将来の適正な人口密度、交通量その他都市機能に適応した土地の高度利用および居住環境の整備を図ることを目的として定める地域地区。建築物の高さの最高限度または最低限度が定められる。
高度利用地区
建築物の敷地等の統合を促進し、小規模建築物の建築を抑制するとともに建築物の敷地内に有効な空地を確保することにより、用途地域内の土地の高度利用と都市機能の更新とを図ることを目指した地域地区。建築物の容積率の最高限度および最低限度、建築物の建ぺい率の最高限度、建築物の建築面積の最低限度並びに壁面の位置の制限が定められる。
公募と私募
社債の発行形態による分類で、公募は不特定多数の投資家を対象に広く募集して債権を発行するもの。私募は少数特定の関係者のみを対象として直接的に募集し債権を発行するもの。私募には、①50人未満の投資家を対象とし、かつ発行された証券が50人以上の者に譲渡される可能性が低い「一般投資家私募(少人数私募)」、②適格機関投資家を対象とした「プロ私募」、③発行額が20億円以上200億円以内の「大型私募」などに細分類される。
コベナンツ
(Covenants)
融資実行後に、借入人(SPC)や関係者が遵守すべき事項のことをいう。具体的には、他業の禁止、公租公課の適切な支払いなどのほか、一定の行為については金融機関の事前了承を得ることなどが定められる。違反した場合は期限の喪失事由とみなされ、早期返済を求められることとなる。
コミットメントライン
(CommitmentLine)
企業と金融機関の間で、企業の要請に基づき金融機関が融資を実行することを法的に約束(=コミット)する場合に、予め定めた、期間や融資限度額の範囲をいう。これにより企業はマーケット変化への迅速な対応が可能となるほか、運転資金の確保などメリットが得られるが、融資実行の有無に係わらず、一定の手数料を金融機関に支払わなければならないというデメリットもある。
コンストラクションマネジメント
(ConstructionManagement)
建築工事を進めるにあたって、発注者の立場にたつ代理人(第三者)に、業者選定、見積の徴求・査定・価格交渉、資材の調達、検査対応等の施工管理にいたるまで、工事・コスト・工程・品質を発注者の利益の視点から管理させる手法。略して「CM」という。不動産の証券化などが発展するなかで、社会的要請として、建築工事に対する透明性、公平性、競争性、情報の公開、株主への説明責任、コンプライアンス(法令遵守)への対応が求められ、従来からのゼネコンが一括受注する発注方式に対して、CM方式が脚光を浴びている。
コンバーション
(Conversion)
既存の建物を市場ニーズに合わせて用途変更することをいう。リフォームやリニューアルにより建物の本来機能の回復を図っても、十分な市場競争力を得られない場合にとる手段。我が国では、賃貸住宅の家賃がオフィス賃料を上回る地域での、オフィスビルから賃貸マンションへの用途転換が主流となっている。
コンプライアンス
(Compliance)
本来は「応諾、服従、追従」を意味することばであるが、主に不動産・金融業界では「法令遵守」の意味で多用される。法令・規則など各種ルール、倫理や社会規範などに従って行動することを指して用いる。コンプライアンスの徹底は時代・社会の要請であり、重大なリスクの事前回避、企業経営の健全性アップ、自らの判断と責任に基づいた企業活動の遂行が求められている。